【EC座談会2020】#8 フルファネル戦略 データ活用・CRM施策 後編

第8回EC座談会

大手食品メーカーD2C新規事業開発の責任者と、コスメD2C事業の経営者の2名の相談者を交えて【EC座談会2020】を実施しました。今回は8回目の連載となります。

シリーズ一覧

1.CRM施策の企画や展開

ファシリテーター尺田(以下、尺田):
顧客になってからのフェーズで、顧客維持と離反防止の為に、価値ある顧客体験を提供する重要性を話し合ってまいりましたが、他にご質問はいかがでしょうか。

相談者田中部長(以下、田中):
CRM施策の企画や展開は、具体的にはどうしたらよいのでしょうか。

アドバイザー吉村(以下、吉村):
そうですね、新規顧客からは利益は短期的には創出されない。顧客は離脱する。優良顧客までの育成には時間がかかる。また児嶋社長、アドバイザー滝沢様の事業経験からみても、顧客増加には限界が訪れるということですよね。

では、CRMでは何をすればよいのかですが、実施するためには、自社の事業構造の今を「見える化」することですね。「見える化」とは、今と経緯とこれからを、森から見て木を見るようにすることです。

先ずは、売上の基盤となる顧客数を「見える化」して、診断することが大切です。次に、顧客の増減の原因を探ります。最後に、増減の原因に対して施策展開を実施しますので、その施策を展開した場合の顧客数の変化が予測できるようにしましょう。

施策展開の基本理念としては、「顧客が嫌がること、やってはいけないことをやらない」「顧客の購買体験を維持向上させること」です。この詳細の施策については、多面的で盛沢山になりますので別途時間を取ることにして、本日は一部だけご案内します。

基本は人とのコミュニケーションですので、心理学が重要だと考えています。

視点としては、
・購入までの心理的プロセス
・購入時の心理的、感情的なポジション=期待値
・購入後、体験・体感したときからの時系列での、心理的、感情的なポジション=期待値との差異

これに応じて、コミュニケーションを設計して、実施することです。一般的には、カスタマーストーリーと言われているものですね。

顧客とのコミュニケーションのタイミングは、時系列でイメージして検討します。
・購入後、商品お届けまで
・購入後、商品お届け、開封、はじめてのご利用の際
・はじめてのご利用から1週間まで
・次回購入、お届けまでの一定期間の前
・購入後、30日、90日、240日(8か月)、365日(1年)
・毎月、定期的な日程(初回お届けの日と同じが良い)

このような場面で、オファーの有無に関係なくコミュニケーション(手紙やメッセージ)を、適切なチャネルやタイミングを組み合わせて展開するといいでしょう。
例えば、チャネルであれば、SNS経由の顧客はSNSで、WEBからならメールとWEB接客で、又デジタルとアナログをミックスするなど。タイミングで言えば、過去の購入時間帯や顧客行動時間に合わせてみること。例えば会社員であれば、通勤時間帯や、お昼時、休日前などですね。

田中:
そこまで、きめ細やかに展開必要があるのですね。単純に、キャンペーンオファーの、一斉DM、一斉メールをすれば大丈夫だと思っていました。

相談者児嶋社長(以下、児嶋):
それでも良かった時期もあるのですが、どんどん顧客の反応が落ちてきました。メールは、開封すらされなくなってきましたね。それで、より一層タイトルが過激で過剰な表現になってしまっています。

アドバイザー滝沢(以下、滝沢):
そうなるのは理解できるのですが、タイトルがキャンペーンオファーチックだと逆効果になってしまいますね。配信タイミングも重要になってきています。例えば、深夜に一斉メール配信などすると、開封率は落ち込むことになりますね。

尺田:
そのようなCRM施策の一環を担うのに、MAツールと言われているものが役立ちます。MAとはマーケティング・オートメーションの略で、集客から顧客育成に関わる分析・検証、マーケティング施策などの一連の業務を自動化・連動化して行うことが出来る便利なツールです。運用の負荷軽減だけでなくパーソナライズしたメールの配信やレコメンド機能、WEB接客などが実現できるので、メールからのCVR向上を期待できます。施策の為のシナリオ設定などそれなりの工数がかかりますが、弊社であれば導入や運用サポートは手厚くしています。

機能面だけのツール選定ではなく、どう使いこなして、運用していくのかを設計してから導入するといいです。スタートアップで顧客数があまり多くないフェーズであれば、導入は必ずしも必須ではありません。ECシステム側に備わっている機能でも十分に対応可能なものもあります。

吉村:
フォローやキャンペーン施策ですが、顧客フェーズに分けてコミュニケーションを設計、設定されるとわかり易いです。
顧客になってからのフォローとして「会員登録」「購入顧客」「休眠・離脱顧客」「顧客パーソナルイベント」「ポイント顧客」、顧客まであと1歩のフォローでは、「カゴ落ち顧客」「閲覧後離脱」を、自分ごととして顧客視点に立って、設計してみてください。

2.カスタマーセンター・コールセンターの重要性

田中:
ありがとうございます。一度、自社で運用フローなどを設計してみます。
また、CRMで思い浮かぶのが、カスタマーセンターとかコールセンターなのですが、こちらはどうされていますか。

滝沢:
顧客と一番近いセクションでもあるので、とても重要です。弊社では、協力パートナーにファーストコンタクトと、購買プロセス上の顧客サポートを、SLAと責任権限を委譲して、顧客対応をお願いしています。インハウスでは、他の業務との兼務ですが、コンシェルジュとして相談業務を担当しています。

児嶋:
定期縛り後の解約については、カスタマーセンターでの電話受付のみで実施しています。解約防止率をKPIにして、協力パートナーと、スクリプトの見直しやオファーについて、毎月試行錯誤しています。ここでも、顧客の状況がECシステム側で「見える化」できていると、その後の顧客対応への工夫ができますね。

あとは、顧客の解約理由や顧客の声をしっかりと登録して、多面的に分析ができると良いですが、ASPカートではデータ登録とデータ抽出の連携の手間が大変です。

吉村:
そうですね、顧客の声などデータ分析するためには、ECシステムのデータ連携やCRM機能の充実さの確認はもちろん重要ですが、1つのシステム・ツールではすべてを実現できないのも事実です。

コミュニケーション履歴としての、音声やチャットデータは、ECシステム側では保有できないので、関連システムであるPBXやメッセンジャーシステムと連携する必要があります。
そこから得られる、顧客の声のサマリーやコンタクトリーズンなどを、ECシステム側に統一した表現で登録して、分析データとして利用できるといいでしょう。

そのために、各コミュニケーションチャネルにある顧客IDの連携が可能なことや、コンタクト履歴管理(コンタクトリーズンやその解決内容)とカテゴリー設定の自由度が必要となります。
これは、カスタマーサービス系のコンタクトリーズンだけではなく、ヘルプデスク系のコンタクトリーズンとしても同様の機能が必要ですね。また、2つのリーズンについても、顧客軸と、取引軸に分けて管理できることが重要です。




次回は、フルフィルメント(決済・発送・バックオフィス)について話し合います。


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Six commerce編集部

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