【EC座談会2020】#4 顧客体験の最適化へと導くバックオフィス業務の各機能とデータ連携の重要性

第2回EC座談会

大手食品メーカーD2C新規事業開発の責任者と、コスメD2C事業の経営者の2名の相談者を交えて【EC座談会2020】を実施しました。今回は4回目の連載となります。

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1.データ連携の重要性

アドバイザー滝沢(以下、滝沢):
バックオフィス業務についてですが、先ずは、受注管理機能について話し合いましょう。児嶋社長は、受注状況の確認は普段どのようにされていますか。

相談者児嶋社長(以下、児嶋):
そうですね、毎朝、「新規受注件数」「クレジットオーソリ不備件数」「当日出荷予定件数」 など売上に直接寄与する数値を先ず見ています。担当部門では、「返品件数」「受取保留件数」など、追加の後処理が発生するデータを見ています。あと、午後には、「定期お届けの予定件数」と、決済状態、出荷、在庫に関わるデータの処理をしています。

滝沢:
大まかにはそうですね。運用視点から細かくみると、受注保留の設定が細かく出来ることが、CRMの視点からみても重要です。受注保留状態の解消のための修正作業や、出荷業務のステータス変更が一括で出来ることなどが、人為的に見落としがちになる運用面では、重要な機能仕様です。例えば、後払いのオーソリ不可データの再オーソリの方法や、オーソリ不可の場合の決済方法の自動変更、顧客への通知の自動処理、などそれなりの手間作業が掛かります。

そして、顧客のネガティブなステータス管理と設定が出来るといいですね。自動処理は不要ですが、アラート機能は必須です。例えば、受取不在が過去発生している顧客、住所や電話番号重複、一部名前重複をベースに取引信用やIPなど特定のデータをもとに不正検知としてアラートを上げてくれるといいですね。

児嶋:
そうですね。ついつい売上重視で商品のまとめ買いも認めているのですが、クレジットカード決済だと大丈夫と思い出荷したら、翌々月にクレジットカード会社から、「不正利用なのでお支払いできません」と一方的に通知されることが、少なからず発生しています。これは、結構、金銭面よりも精神的にダメージがあるので、極力避けたいです。

滝沢:
不正検知は、永遠の課題ですね。これは、決済機能と密接に関連しますので、フルフィルメントの部分でアドバイスしますね。

私が、一番困っていて運用に苦労しているのは、分析です。
LTV最大化を重視しているので、ECシステムで保有している顧客管理データに広告配信データを連携し、媒体、チャネル、オファーデータを関連付けるのが先ずは重要です。何故なら、ECビジネスはフロー変動的な広告ビジネスだからです。

児嶋:
そうですね。広告施策の評価をするには当然重要で、弊社では、広告管理ツールデータと、ECシステムの顧客データを抽出、ダウンロードしてExcelで管理しています。結構大変です。

滝沢:
1件、0.1%違うだけで、様々な評価やアフィリエイターなどのパートナーへの支払いが変わってきます。支払いに不備があれば、パートナーからの信頼を失うので、神経を使うところです。
特にMR(メディアレーション)と施策の結果は、短期的には、定期縛り後でしか評価できていないことと、真のLTVベースでは、縛り後の6カ月から1年間経たないと評価できないので、数値が合うことがとても重要です。

顧客になってからは、あらゆる場面で、ユーザーボイスの分析が必要です。ECシステム側に、最低限のCRM機能やデータ連携機能は欲しいところです。

例えば、顧客セグメントごとに離脱理由が明確になれば、それを解決するための商品改良や、媒体、チャネルごとのコミュニケーションやキャンペーンを改善することができます。ECチャネルでの顧客行動系では、GA(Google Analytics)連携をしなくても、購買履歴は当然として、サイト訪問履歴、ページ回遊履歴が取得可能であること。キャンペーン系では、クーポン利用履歴やポイント利用履歴。コミュニケーション系では、問合せ履歴などの顧客情報のログ取得とデータ連携ができると便利です。

またコールセンターの顧客コミュニケーション情報や、外部連携のCRM/MAツールを活用した顧客行動と対応の分析をした上で、詳細なセグメントに分けてコミュニケーションとキャンペーン施策の実行が出来ると顧客にとっては、煩わしくない、優良なコミュニケーションになるでしょう。

相談者田中部長(以下、田中):
お話しをお伺いしていると、EC事業展開には、様々なデータを保有して顧客状況を判断し、施策を実行する必要があり、関連するシステム間のデータ連携がとても重要なことがわかってきました。ポイントをもう少し教えてください。

2.フルファネルで考えるCRM戦略

アドバイザー吉村(以下、吉村):
顧客フェーズをフルファネルとして定義した場合、「顧客になるまで」「顧客になってから」「顧客から離れてしまってから」の、3つに分けられます。

顧客コミュニケーション軸では、WEBやSNSでの反応、メールやSNSでのコミュケーションメッセージ、オフラインメディアからの音声系などへのアクセスデータがポイントですね。

顧客になるまで、どのように媒体やチャネルを体験したかCTR・CVRで測っていき、情報を蓄積して、態度変容を「見える化」することです。ECシステム側としては、タグのマネージメント機能の充実度が重要になります。unknownデータの蓄積ですね。

顧客化してからは、unknownから実体になるのですが、顧客軸では、顧客に寄り添いロイヤルカスタマーとして一緒に顧客体験を実現するために、コミュニケーション設計とコンテンツ改善、ストーリーデータの履歴管理と評価が出来ることがポイントです。

具体的には、顧客体験に、商品軸の分析評価を加味していきます。購入履歴データや、使用後のレビュー、アンケートデータを載せていきます。ここで重要なことは、商品ありきでは無いことです。あくまでも、顧客体験があってこその商品、そしてサービスです。

田中:
メーカーとしてはどうしても、商品がいくつ売れる、売れたかが、事業として身についていますので、意識を変えるのは、大変難しそうです。

3.D2Cやギフト系通販に必要なECシステム機能

吉村:
今までは、それで良かったと思います。事業の視点を意識して頂けば、おのずから無意識で出来るようになりますので、安心してください。

D2Cやギフト系通販に必要なECシステムの機能を具体的に整理してみましょう。

まずカート機能については、定期購入者がクロスセルで単品購入、または単品購入者が定期コースに変更などの処理や、商品SKU内でのセレクト購入(サイズ、色、味、デザインなど)が可能な機能が必要ですね。ギフト商品のまとめ買いであれば、複数送付先設定があると良いでしょう。

食品であれば、複数温度帯の商品を一括購入出来ると良いですね。又、予約販売の場合は、単なる数量制限だけなのか、追加予約やキャンセル待ちも可能にするか、さらには法人購入対応をするのかも検討する必要があります。

PCとスマートフォンなどデバイスまたぎでもログインすればカート情報を反映出来ると良いです。その他には、顧客ランクの設定をする場合は、購入回数軸だけではなく、取引年数や購入金額軸も加味する事ができるか。さらに、自社サイトや外部連携ポイントの設定、変更(キャンペーン時の、商品、数量、顧客ランクでの設定)の機能があるかも確認が必要です。

また納品書などへのコンテンツの自由度、変更・設定の容易さ、のし対応、ギフトカード対応などの機能面の有無。帳票の自由度があれば、顧客満足だけではなく、バックオフィス側の運用も簡易になりますし、ワークフローのエンドでもある3PL側も作業効率を上げることが可能になります。

受注管理・運用機能面であれば、受注ステータスがオーダー注文単位なのか、出荷ベース単位なのかの確認。受注データが、オーダー注文単位なのか、個別の商品単位なのか。受注ステータスで受注対応状況の変更やメール送信など、顧客との業務コミュニケーション方法についても、ワークフローに沿って確認が必要です。また注文キャンセルや返品時の、ポイント、在庫、決済、購買履歴反映などの後処理や、出荷処理後のお問い合わせ番号の連携についても単なる番号登録だけで良いのか、配送状況ステータス変更の確認通知まで実施したいのか、についても検討したいところです。

商品登録や表示機能面であれば、商品一覧で、商品の公開・非公開や在庫状況(実在庫、予定在庫、予約在庫)の表示設定をどうするのか検討できますね。さらに、キャンペーンステータスの一覧変更、アイコン追加などの運用、商品カテゴリーの設定と変更方法、タグ管理の運用方法、商品ページのABテストを実施する場合も吟味が必要です。

CRM機能面では、顧客の問い合わせ事項の登録、履歴の確認方法、コミュニケーションツール(電話、メッセンジャー、メール)との連携について確認が必要です。

コンタクト要因については、ヘルプデスク要因とカスタマーサポート要因の分類と、顧客ファクターかトランザクションファクターかをしっかりと区別して管理できるか。その後、商品開発やサービスレベルの改善への反映方法についても話し合わなければなりません。

管理・分析機能では、売上状況グラフや、受注ステータス、決済ステータス状況などの表示方法と処理作業の運用、商品一覧での在庫の状態、自社サイトやモールプラットフォームなどの販売ロケーション別などの表示もあると便利ですし、顧客ステータス管理をどこまで、ECシステム側とMA/BIツール側とで振り分けするのかも必須確認事項です。新規顧客に関するKPIと費用の見方、既存顧客に関するKPIとLTVと費用の見方をどうするか。又それを、ECシステムで実施するのか、データ連携でBI/BAツールで実施するのか。それぞれ決めていくことも重要です。

すべてに適用されることですが、現状のワークフロー(WF)と課題、システム上の改善案=改修案は、よく理解できると思います。しかし、先々の顧客体験を考えたTo Beの機能から発生するワークフローを設計して、機能要件や作業工数を算定することが重要です。

アパレル、総合通販サイトの顧客体験の機能は多様性があり参考になるので、顧客視点で実装したいと思いつく機能を優先順位つけて検討し、実装、拡張可能かどうかを見極めてください。

ファシリテーター尺田:
ECシステムの基本的な機能面と外部システムの連携の重要性については、さらに顧客体験の各フェーズに沿って、より具体的にアドバイスを受けたいと思います。それらの機能を活用して、どう運用していくべきかについて、お話しが出来ると良いかと思っています。




次回は、新規顧客獲得の為にどうリスティング広告やアフィリエイト運用をするかを話し合います。


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Six commerce編集部

2019年にスタートしたEC特化メディア。昨今のECシステムの様々な情報を発信します!


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