【EC座談会2020】#3 単品通販事業に必要な機能とツール選定方法

第2回EC座談会

大手食品メーカーD2C新規事業開発の責任者と、コスメD2C事業の経営者の2名の相談者を交えて【EC座談会2020】を実施しました。今回は3回目の連載となります。

シリーズ一覧

1.EC事業に必要な連携システム

ファシリテーター尺田(以下、尺田):
田中部長、今回の新規事業でのECサイト構築に、パッケージタイプを検討されている理由はなんですか。

相談者田中部長(以下、田中):
会社の現行システムは、パッケージを自社向けにカスタマイズしていましたので、ECシステムもそういうものだと思っていました。それで、現在、各システムの構築、保守に関わっているSIer複数社や情報システム部と相談しました。比較的費用面が抑えられる点と、追加機能がモジュールで提供されていて、最後はカスタマイズで何とかなるかなと考えて、パッケージタイプで検討を進めようかと思っています。ただし、他にもっと良い方法がないものかと思案しています。

尺田:
それでは、EC事業に必要な機能、仕様は多面的ですので、事前にカテゴリーを分けてディスカッションと説明を進めることしましょう。田中部長、貴社の既存業務でご利用のシステムと機能(目的)について思いつくままで結構ですので、挙げて頂けますか。

田中:
はい、私は元々営業畑の出身なのでその視点からになりますが、「販売管理システム」「顧客管理システム」「在庫管理システム」「生産管理システム」「会計管理システム」そうそう、あとは最近ですが、「営業支援システム」を利用していますね。

尺田:
児嶋社長、この中でECシステムに無い機能と、今、貴社でご利用のEC事業に必要なシステム機能ってわかりますか。

相談者児嶋社長(以下、児嶋):
「生産管理システム」は、OEM方式でのサービス提供のため、製造部門が存在しておりません。「会計管理システム」は、SaaSのシステムを利用しており、会計データを入れるだけで、ECシステムとは今のところ連動していないですね。出来ると楽にはなりますが。

EC事業で使っているシステムとしては、ECフロントサイドでは、「LPツール」「ABテストツール」「ヒートマップツール」広告関係では「広告配信・管理ツール」これは、デジタルマーケティングエージェンシーから提供して貰っています。あとは、みなさまもご利用の「Google Analytics」。CRMでは、「メール配信ツール」こちらはSNS配信ができないので今後どうするか検討しています。弊社はモール連携しているので、「モール連携システム」もあります。倉庫在庫や、発送伝票システムは、3PL会社に任せているので自社では無いですね。

顧客とのコミュニケーションは、メールと電話がメインですが、電話応対は外部パートナーに依頼しています。自社ではエスカレーション対応だけなので、普通のビジネスフォンを利用しています。

尺田:
児嶋社長ありがとうございます。ざっと思いつくだけでもそれくらいありますね。後程、各システムの連携、運用方法についてはお聞きしますね。

田中部長、貴社の各システムでは、どのように運用管理されていますか。

田中:
運用は、保守費用を払ってベンダー任せで、マスター登録や変更などは各部門の事務管理担当者が、各担当から申請書類を上げて実施しています。また、会議や事業評価には、それぞれ定型帳票がありましたので、システムからの帳票出力には一部カスタマイズで構築してもらいました。

2.顧客視点で選定するシステム・ツールの機能

尺田:
滝沢様にお尋ねしますが、EC事業展開をされている中で、各システム・ツールの課題や特徴、選定方法などアドバイスがあれば教えてください。

アドバイザー滝沢(以下、滝沢):
児嶋社長から事前に課題を頂いていましたので、それに沿ってご回答しますね。ECシステムの基本的な機能として、対顧客への機能とUI、運用管理側の機能とUIに分けて評価選定する必要があります。先ずは、顧客視点だけに絞って進めましょう。

顧客接点では、はじめに、自社商品、サービスの顔となる商品・サービスのプレゼン・デモンストレーションを行うカウンセリング・カタログサイト機能、実店舗で言えば店舗ディスプレイと接客販売員の役割としての機能ですね。これは、児嶋社長のような、単品系のビジネスモデルであればLP機能が最優先で、次に、アップセルとクロスセルをするための機能が重要になってきます。

田中部長のような、総合系のビジネスに近い形式であればカタログサイト的なデザイン機能、リコメンデーション機能と、各商品・サービスに関してのマーケティング要素、SEO機能の充実度が必要になってきます。そして、アイテムが増えてきたら、目的の商品・サービスを探すためのサイト内の検索機能の実装を検討することになります。

例えば、以下の視点を持って機能を管理運用面から具体的にチェックしたほうが良いです。デザイン面からはテンプレートの有無、無ければ制限なくデザイン適用できるメリットがあります。またレスポンシブ、ダイナミックサービング両方に対応可能かどうかもチェックしてください。CVRを向上させる為に重要な、フォーム一体型のLPなど作成可能かもチェックが必要です。

SEO観点でもメリットがあるページへのタグの埋め込みは制限なくできるかという観点だけではなく、運用管理とデータ管理についても扱いやすいかどうかということがポイントです。後、簡易CMS機能があれば、管理画面でHTML&CSSでデザインの修正ができ、制作コストや修正リードタイムの短縮化が可能です。

マーケティング機能面では、標準で備わっている機能からステップメール配信、サンクス画面でのアップセル、クロスセルが可能なフローが提供できるか。外部システムとの連携無しで、商品や会員属性に紐づけたレコメンデーションがどこまで可能かどうか。会員のステータス設定の自由度がどれくらいあるのか、またそれに伴う初回、既存などの属性に応じた問合せフォームなどの最適化でCSとバックオフィス業務を効率化できて、商品開発やマーケティングに反映させるデータとして保持できるか。商品数が多い場合は、外部のサイト内検索エンジンと連携して価値のある顧客体験の提供が可能かどうか。上記のポイントを運用管理としてのワークフローと合わせて、これからどうしたいかという視点からチェックしてください。

児嶋:
LPからのCVRはABテストで改善はしていますが、CVRが上がり続けることはないというのが実感です。本体サイトではカート購入完了後のクロスセルを実施していますが、CVRは低いですね。クロスセルの仕方に問題があると感じています。

滝沢:
ご存知のとおり、新規(初回)購入顧客であれば、個人情報をフォームに入力する必要がありますね。このデザインと、フォームフローがどれだけ顧客視点に関わっているかが重要です。選定ポイントとしては、LPと本体ページでの違いが必要であること。接触デバイス別の、PCフォームとスマートフォンフォームの遷移を変えられることや密接に関連するサイトデザインもデバイス別に管理出来ることが重要です。

児嶋社長のサイトを拝見しましたが、PCのLPでは、フォーム一体型でユーザー視点に立っていると思っています。一方本体サイトでは、個人情報登録、決済方法登録と遷移しますので、これを改善する必要があると思います。スマートフォンは、画面の制約から遷移型、というか、対話型がベストですので修正して実施してみてください。このUIは、今後のSNSやチャットコマースにも適用が可能です。

気づいた点としては、カート購入終了後のオファー機能が実装されていないことですね。都度購入からの定期購入への変更や、決済方法変更の誘導、例えば、代引きからのクレジットや後払いなどの継続率の高まる方法への誘導などが、実装されるといいでしょう。

自分自身でも経験するとわかりやすいのですが、既に登録しているソーシャルIDや決済IDの連携が実装されていると、入力項目が少なくてうんざりしませんよね。

また、広告配信先のプラットフォームが多面的になりますので、そこでの親和性の高いID連携は必須になりますね。

児嶋:
そうですね。ソーシャルID連携を実装したいと考えているところです。ただ、外部連携の追加が有料で、すべてのSNS IDに対応しているわけでもないので、ソーシャルログイン系と決済ID系で別々に連携システムを入れる必要があって、優先順位を検討中です。

滝沢:
次に、顧客になって、お付き合いが始まってからの機能としての顧客管理機能ですが、フロントページの「マイページ機能」は顧客体験としては、便利であればあるほど満足度が向上するのと、バックオフィス側での負荷が低減されます。マイページ機能でお気に入り商品、注文履歴の参照が可能であるのは基本として、定期注文などの配送頻度の変更やスキップがカレンダー選択で可能など、海外のD2Cのサイトの導線などを参考にされると便利さが実感できます。

児嶋:
そうですね、弊社では、定期での購買回数を最低でも4回以上としてサービス展開しているため、スキップは出来ないようにしていること、5回目以降の解約防止のため、マイページ機能は提供していません。しかし、カスタマーセンター側の顧客からの回数確認問合せなどの負荷が高いオペレーションもあり、改善が必要かと思っています。

滝沢:
バックオフィス側の顧客管理機能では、やはり、各顧客セグメントの状況である、RFMの顧客購買行動がみえることが重要です。受注管理機能と密接な関係があるので、そちらと合わせてのアドバイスをしますね。




次回は、受注管理機能などバックオフィス業務機能とデータ連携について話し合います。


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Six commerce編集部

2019年にスタートしたEC特化メディア。昨今のECシステムの様々な情報を発信します!


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