コロナ禍で再注目!なぜいま「D2C」が必要なのか

Direct to Consumer

メーカーが製造した商品を小売の流通経路を利用せず、消費者にECで販売する「D2C」が、小売業界で注目のキーワードになっています。コロナ禍の緊急事態宣言で実店舗での販売が苦戦したり、店舗を休業せざるを得ない状態でも、D2Cの販路を持つメーカーはECに注力し、この困難に立ち向かっていました。また、実店舗しか販路を持たない事業者が、新たにD2Cに活路を見出す動きも目立っています。注目を集めるD2C市場について、多面的に考察いたします。

1. D2Cはアメリカ発祥、日本では独自の発達も

米国ではECモールからD2Cにシフトの動き

D2C(またはDtoC)という言葉は、Direct to Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の略称で、米国の小売業界で注目され、日本に入ってきた言葉です。メーカーが製造した商品が、卸売業者や実店舗などを経由せず、消費者が直接購入するという流通経路を指しています。

米国の小売業界では、ウォルマートやホールフーズ(Amazonが買収)などの小売店、ネット通販ではAmazonやeBayなどを筆頭に、ショッピングモールやECモールが日本より圧倒的に強く、ネット通販をするのであれば、ECモールが一般的でした。しかし、2019年11月にNIKEがAmazonから撤退したように、D2Cにシフトするメーカーがここ最近で増えてきているのです。

日本の小売業界でD2Cに注目

日本では、健康食品や化粧品など、メーカーによる直販で成長している通販会社も多く、日本の通販業界にとってD2Cは珍しいものではありません。D2Cは「単品通販」「自社EC」「独自ドメイン」といった用語で呼ばれ、EC・通販会社が当たり前のように実践してきました。

D2Cは日本の通販業界では一般的なのですが、D2Cが注目を集めているのは、どちらかというと通販業界というより小売業界です。リアル店舗での卸売り販売、AmazonなどのECモールで、卸売販売などを主流の販路としていた会社が、新たに自社サイトをオープンさせ、消費者に直接販売していくD2Cに取り組み始めているのです。この傾向は、コロナ禍でさらに強くなり、さまざまな企業が自社でECサイトを立ち上げ、D2Cを開始しています。

2. なぜいま「D2C」なのか、D2Cが有利な点とは?

なぜD2Cを開始する会社が増えているのでしょうか。それは、やはり消費者にコンタクトできることです。店舗経由だと、誰が商品を購入しているのかわかりませんが、D2CではECサイトで消費者が直接商品を購入してくれるため、購入している顧客の名前・住所・年齢・メールアドレスなどの情報を得ることができます。コロナ禍のように、例え店舗を休業したとしても、顧客に直接メールやSNS、DMなどを通じてキャンペーンや新商品などの情報を発信し、商品購入に結び付けることもできます。

さらに、購入者がどのような時期に、どういう商品を購入するか、どのようなキャンペーンを実施したら効果があるのかなど、顧客データを分析し、新たな商品の開発やマーケティングに活用することもできます。また、流通経路が最短になったことで、利益率も高くなります。

3. ECモールへの出店から、自社ECを立ち上げ

ECでも同じで、Amazonや楽天市場などのECモールに出店していた通販会社が、上記のメリットから自社ECサイトを立ち上げ、D2Cを開始するケースが増えています。D2Cによってユーザーとのコミュニケーションを深め、ECモールよりも細かい対応で、ユーザー1人が自社サイトで商品をどれだけ購入してくれているかを示す指標であるLTV(ライフタイムバリュー)を上げることが、成長の秘訣になっています。

通販業界では、新たなD2Cブランドの誕生や、D2Cのメーカーに関する話題が増えていますが、直近では、今年の2月にデパートの(株)丸井グループがD2Cのエコシステムを支援する新会社『D2C&Co.』を設立したことが話題となりました。同社はD2Cブランドへの投資や融資、リアル店舗の出店・運営など、D2C関連の業務全般を支援し、D2Cの取り組みを推進しています。

4.「D2C」を実践する際の課題とは?

実際にD2Cを始める際の課題について検証したいと思います。まず、実店舗での卸販売をしていたメーカーにありがちなのが、D2Cを開始する際の価格設定です。既存の流通での取引先との関係性から、自社ECでの販売価格には注意が必要で、卸先よりも販売価格を安くすると、取引先との関係を壊しかねません。卸先との調整を含め、バランスの取れた価格設定が重要で、場合によっては、自社ECでは商品名やブランド名を変更して展開した方がいいケースもあります。

D2Cを開始する場合、ECサイトの構築が必要ですが、それだけではありません。店舗とEC販売で在庫を一元管理することや、商品受注時の物流・発送作業、店舗の会員とネット会員の統合など、ECと店舗業務をスムーズに連携するために、バックヤードを整えることが必要です。

こうしたECサイトの構築、バックヤードの整備については、必要な機能をまとめている通販のパッケージシステムも有効です。ただ、自社のサービスをECシステムで実現できないと意味がなく、EC・通販システムの選択については、自社のサービスの特徴とECでやりたいことを実現できるシステムであることが前提となり、予算を含め慎重な判断が必要となります。

また、実店舗の売上規模が大きい会社がECを開始する際にありがちなのが、店舗の現場スタッフとECの売上争いです。店舗には売上の目標があるため、EC部門との協力体制がうまく築けないというケースです。この場合は、経営部門が会社として方向性を示し、ECと店舗がスムーズに連携するメリットを正しく共有することが必要です。

5. なぜ「D2C」が必要なのか、まとめ

それでは、最後に記事をまとめたいと思います。D2Cは直接ユーザーとのコミュニケーションを深めることができ、メリットも大きく、コロナ禍でさらに注目されています。ただ、価格設定や、バックヤードのシステム構築、社内体制などが課題です。ここでつまずくと、D2Cでの展開がうまくいかなかったり、成長の軌道に乗るまで、かなりの時間がかかってしまう場合があります。

以下の記事では、D2Cの成功事例から、自社サービスに組み込むヒントをご紹介しています。併せてご覧ください。


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Six commerce編集部

2019年にスタートしたEC特化メディア。昨今のECシステムの様々な情報を発信します!


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