効果が高いDXとは?B2B ECで受発注の業務効率が大幅に改善

効果が高いDXとは?B2B ECで受発注の業務効率が大幅に改善

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、オフィスへの出社を避けて自宅で仕事をするリモートワークが定着し、日本の労働環境に大きな変化が起きました。

コロナ以前からも「働き方改革」が求められていた中で、コロナ禍で、はからずも企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が加速。この流れに乗ってB2BのECシステムも注目を集め、ECサイトのようにネット上で受発注を行う企業も増えています。

今回はDX推進を背景に急速に普及するB2B EC(BtoB-EC)について考察したいと思います。

1. B2B ECで受発注業務の大幅な効率化が実現

コロナ禍では、リモート勤務が一般化することで、契約書、見積書、印鑑、請求書などの電子化が進んでいます。

取引先の担当者が出社していないのに、これまで通り郵送で請求書を送付しても、確認してもらえず、未入金になるケースが多発。よって請求書をPDF化してメールで送信したり、請求書の管理システムを導入する企業が増えました。

請求書をメールで送信することにより、郵送の代金が削減されるほか、経理担当の請求書を発送する業務にかける時間、請求書が届くまでのタイムラグがなくなり、企業にとっては多くの恩恵がもたらされました。

同じように、企業にとって業務負担が大きいのが受発注業務です。ある部品を製造・販売する部品メーカーA社を例にしてみます。

通常の受発注は、A社の営業担当者が機械メーカーB社を訪問し、受注すると発注書または注文書などをもらい、その発注書の内容が審査され、問題がなければ営業担当者らが社内のデータシステムに入力(紙ベースの場合もあり)。その内容に基づいて、在庫確認をして、該当の商品を製造工場や倉庫などから出荷する、といった流れになると思います。

2. B2B ECは発注者側にも大きなメリット

このデータ入力で間違いが起きると、大きなトラブルになりかねません。件数が多くなってくると、営業担当者の負担も大きくなり、些細なミスも起きやすくなります。

また、在庫管理がシステム化されていなかったり、別システムになっている場合は、受注時に別途在庫確認をする必要があります。同時に受注が入って、在庫を切らしてしまうトラブルなども起きやすくなってしまいます。

社内の基幹システムや在庫管理システムがクラウドに対応していない場合は、出社しないと発注書の内容が確認できず、非常に不便な状況になります。

一方、発注者側のB社も、発注ごとに発注書を作成する手間がかかるほか、その発注書の管理、定期的に在庫の確認が必要です。さまざまな部品を部品メーカーから仕入れている機械メーカーにとっても、受発注業務は負担が大きい業務の1つになっています。

3. さまざまな業種でB2B ECの導入が拡大

近年は、この受発注の流れをB2CのECサイトのように、ネット上で購入してもらう取り組みが進んでいます。

上記のA社(部品メーカー)・B社(機械メーカー)を例にすると、B社は、B2CのECサイトで商品を購入するのと同じように、A社のサイトから購入する部品と商品数を選択し、購入ボタンを押すだけで商品が発注できます。在庫管理と連動しているため、在庫を確認する必要もありません。

B社は発注書を作成する手間がなくなり、前回の発注内容は発注履歴を見ればすぐに確認できるようになります。定期的に発注している商品であれば、B2Cの定期通販のように、1カ月単位で商品が届くような設定も可能です。

A社にとっても、発注書をシステムに入力する手間がなくなり、発注側のB社が間違えない限り、入力ミスもなくなります。また、一度B社から受注があれば、必要になった時点でB社が発注してくれるので、営業担当者もラクになります。

また、B2Bの取引では、発注の量によって販売先のB社とC社の販売価格が異なるパターンもあります。こうしたケースでも、ECサイト側にB社がアクセスした際には、B社の価格を表示し、C社がアクセスした場合には、C社の価格を表示させることもできます。

このように受発注業務を劇的に効率化させることができるのが、B2Bの受発注システムです。製造業だけでなく、卸売業、飲食業など、多くの業種で導入が進んでいます。

4. B2B EC市場は353兆円

こうしたB2B向けの受発注システムは以前から存在していたのですが、各社ごとにカスタマイズするには費用が高額となり、あまり普及していませんでした。

近年では、B2Cで実績のあるECサイト構築システムなどが、B2Bに対応してきたことでシステムを導入するコストが低くなり、急速に普及してきています。

経済産業省の調査によると、2019年のB2B EC(企業間電子商取引)市場規模は、前年比2.5%増の353兆円(前年344.2兆円、前年比2.5%増)で、毎年拡大を続けています。

B2B EC市場規模の推移

経済産業省 調査結果より

また、B2B ECのEC化率は31.7%(前年比1.5ポイント増)となっています。このEC化率は、B2C EC(6.76%)の約5倍で、B2Bの取引がECには向いていることがわかります。

5. B2B ECのメリット・デメリットとは?

では、B2B ECのメリットとデメリットを見ていきたいと思います。メリットとデメリットをまとめると、下記のようになります。

【B2B ECのメリット】
(1)業務の効率化
(2)業務効率化による人件費削減
(3)業務効率化による社内のモチベーション向上
(4)ミスの削減
(5)発注・納品サイクルの短縮化
(6)販売先の利便性向上
(7)1~7の相乗効果による売上拡大
【B2B ECのデメリット】
(1)システム利用料やサイト制作費がかかる
(2)ECシステムに移行する社内への説明や合意形成が必要
(3)取引先にITリテラシーが高くない会社が多い場合は、事前に説明会の開催や利用に関しての講習会の実施が必要

6. B2B ECのメリットは大きいが、デメリットはないに等しい?

上記のように、B2B ECを導入するメリットはたくさんありますが、デメリットは少ないことがわかります。

大きなメリットは「業務の効率化」です。

業種にもよりますが、注文日から出荷に数日~数週間かけていたケースでも、B2B EC導入で即時出荷にも対応できるケースが増えると想定されます。単純に手間が減るので、受発注にかけていた時間を、別の業務に割くことができ、会社全体に相乗効果を生むことができます。

デメリットは、導入費用がかかることが大きいですが、業務効率化による人件費削減で相殺できるケースがほとんどだと思われます。

また、取引先がB2B ECシステムを使えないケースも想定できますが、三井住友カードによる調査では4月~7月の間にネット通販を利用した人は約8割に上り、ほとんどの人がネット通販を利用しています。それゆえ、同じような購入の仕方となるB2B ECサイトの利用についても、特に問題にならない可能性が高いです。

7. B2B EC導入した成功事例は?

B2B ECで最も有名なのは、オフィス用品通販のアスクルだと思います。


多くの企業が文房具やオフィスで使用する備品、消耗品などをアスクルで購入しています。アスクルはカタログからでも商品を購入できますが、コロナ禍の現在では、新たなカタログ発行を中止しており、ECにシフトしていることが伺えます。

多くの企業がアスクルに出品することで、B2B ECを間接的に実施していますが、出品できるのは文房具や備品、オフィス家具など、アスクルで販売できるものに限られます。

A社のような部品メーカーの場合など、特定の業種向けの商品を販売する場合は、自社のB2B ECサイトが有効となります。

8. 中古オフィス機器のB2B ECサイトを構築し、情報管理を効率化

では、自社のB2B ECサイトを構築して業務を効率化させた具体的な事例をいくつか紹介いたします。

事務用品の販売やリサイクルショップ事業などを手がける株式会社トミザワは、業務効率化に向け、企業向けに中古オフィス機器を販売するオンラインショップを構築。


基幹システムと注文情報を定期的に同期させ、オンラインショップとの在庫管理を一元化したことで、販売情報と在庫情報の管理が大幅に効率化されました。

9. 稟議システム構築で見積→発注までをWEB上で完結

トラック・バス・乗用車用部品の販売などを手がける日野トレーディング株式会社は、販売先のユーザーの発注業務を効率化し、利便性を高めるために、工業部品や工具などのECサイト「あきんど」にB2B向けの稟議システムを構築。


見積依頼から社内稟議までの発注フローをWEB上で完結させ、紙ベースの帳票をデジタル化し、メール配信機能も作成しました。

購入までの全フローがWEB上で完結することで、所用時間が短縮されたほか、発注ステータスの把握がしやすく、帳票管理の手間を大幅に削減。また、稟議中の保留やキャンセルなどの機会損失が減ったことで、ユーザーの定着化につながりました。

販売先のユーザーにとっても、商品が短時間で探せるようになったほか、最短ステップでリピート発注できるリピートオーダー機能により、利便性が大きく向上しました。

10. 販売・仕入がオンラインで完結するニューノーマル時代が到来?

以上のように、B2B ECは、受注側だけでなく発注側にも大きなメリットがあることがわかったと思います。B2C ECで実績があるEC構築システムには、B2Bでも利用できる機能がすでに標準装備されており、新たにシステムを構築する必要がありません。

「働き方改革」でさまざまな業務がDX化されていますが、業務効率の改善に大きな効果をもたらすのが、受発注業務のDXと言われています。

コロナ禍では飲食業界を中心にB2Cのオンライン販売を開始する会社が増えていますが、その仕入にもB2BのECサイトを活用するという、販売・仕入のすべてがWEB上で完結するニューノーマル時代が、すぐ目の前に迫ってきています。


ライター紹介ライター紹介

Six commerce編集部

2019年にスタートしたEC特化メディア。昨今のECシステムの様々な情報を発信します!


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